九郎助稲荷の横兵庫
2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」が始まりました。
趣味でこんなサイトをやっている私としましては、江戸時代中期後半の髪型が色々見られるので、とても嬉しいです。
今年一年とても楽しみ!!
大河ドラマにはYoutubeなどで色々な解説がありますが、髪についての解説はあまり無いようなので、自分なりに時々書いていきたいと思っています。
まずは初回に登場した、綾瀬はるかさんの九郎助稲荷。
髪がぴょんと跳ねて、可愛いお稲荷さんでしたね。
あの髪型は、毛先を出した「横兵庫」です。
それまでの兵庫髷を横に倒した形で、毛先は横にピンと出します。
安永(1772-1781)頃から流行した髪型で、『当世かもじ雛形』にも載っていますね。
『当世かもじ雛形』は、安永8年(1779年)刊行ですので、まさに蔦屋重三郎が生きた時代。
京都の書物問屋 菊屋七郎兵衛が出版元なので、江戸の出版物ではありませんが、当時の流行がよくわかります。
ところで、「べらぼう」の九郎助稲荷さんは、横に張った鬢(びん)に膨らみのない髱(つと)ですが、『当世かもじ雛形』の横兵庫は「なかびん・ひしづと」で形が違います。
江戸時代の風俗誌『守貞謾稿(もりさだまんこう)』によると、宝暦(1751-1764)以降、それまで主流だった「後ろに突き出した髱」から、燈籠鬢(とうろうびん)などの「横に張った鬢」に流行が移ったとあります。
ですが、『当世かもじ雛形』には、鷗髱(かもめづと)や鶺鴒髱(せきれいづと)と燈籠鬢が共存しています。
今回の大河ドラマの時代は、ちょうど流行が大きく変わる過渡期であったようですね。
とても興味深いです。ドラマに鴎髱は出てくるかな?
※「当世かもじ雛形」全ページはこちらでご紹介しています。
この横兵庫が発展して「両兵庫」になります。
朝顔姉さんや花の井さんが結っていた、丸いリボンのような髷です。
「両兵庫」については次回、書きたいと思います。
Comments